リハビリテーション

「トレンデンブルグ徴候」理学療法関連用語~正しく理解しよう~

トレンデンブルグ徴候とは

定義

種々の股関節疾患に伴ってみられる理学所見で、患側で片脚起立すると健側の骨盤が患側より下がる症状

トレンデンブルグはこの現象が股関節外転筋の機能不全を伴う先天性股関節脱臼症例で観察されることを報告した。

トレンデンブルグよりも以前の1869年にデュシェンヌは股関節外転筋群の麻痺が原因となって、片脚立位時に患側への体幹傾斜と骨盤の傾斜が起こる現象を報告している。

現在、この2つの現象の区別は

トレンデンブルグ徴候

外転筋力の機能不全が存在する下肢で片脚立位となった時に、遊脚側下肢の重量に抗せずに遊脚側の骨盤が墜下する。

また、遊脚側への体幹傾斜がみられる場合もある。

デュシェンヌ現象

外転筋力の低下している下肢で片脚立位となった時に立脚側へ体幹が側屈し、かつ骨盤傾斜も起こる

 

トレンデンブルグ徴候と跛行

股関節外転筋の低下を伴う股関節疾患患者では、歩行時立脚期にトレンデンブルグ徴候を来すことがある。

これはトレンデンブルグ歩行と呼ばれる。

類似した用語の中殿筋歩行は、荷重肢に重心をかけるために、立脚時に中殿筋の弱い側へ身体を代償的に傾ける歩行と定義される。

中殿筋歩行は立脚期におけるトレンデンブルグ徴候とデュシェンヌ現象の混在したような代償運動と捉えられ、トレンデンブルグ歩行を包括するものである。

 

 

例:股関節の疼痛に由来する歩行時の体幹側屈や骨盤傾斜は、鎮痛性歩行という用語となる。