医学

「肩関節周囲炎・腱板断裂の診断」

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ここから序文です。

今回は外来リハビリでよく患者として来ることが多い肩関節疾患診断についてまとめました。

肩関節の疼痛・可動域制限により病院に行って診断され、リハビリが行われることが多いですが、腱板断裂を起こしている方もいる。。。

肩が痛いから肩関節周囲炎と病名が付いていても腱板断裂されている方もおり、混合しがちであり、リハビリの進め方も違ってきますので徒手検査にて大まかな判別ができると役立ちます。

よってまとめます。

 

はじめに

肩関節周囲炎及び腱板断裂は肩に疼痛と機能障害を引き起こす代表的な疾患である。

また日常診療において頻繁に目にする疾患である。

そのためマンネリ化することが多い。

しかし、周囲炎と断裂では病態が全く異なるが症状は酷似している。

 

まず肩関節周囲炎を説明していく。

 

肩関節周囲炎

日常診療でよく用いられる病名であるが、単一の疾患を示すものではなく、肩関節に疼痛と可動域制限をきたす疾患の総称である。

一般的には「五十肩・四十肩」として認識されている。

画像診断の進歩により原因が明らかになった腱板断裂や石灰性腱炎などは除外され、原因不明で、特徴的な病期(炎症期・拘縮期・回復期)を経て軽快するものをいわゆる五十肩と読んでいる。

※欧米では凍結肩(primary froxen shoulder)言われている。

発生頻度は人口に対して2〜3%で、好発年齢は40〜60代、70%は女性で発症し、両側罹患は17%である。また再発は稀である。

臨床症状

病期により炎症期・拘縮期・回復期に分類され、それぞれの時期において症状や治療方針が異なる。

炎症期

安静時、動作時のいずれにおいても疼痛が強く、夜間痛もみられる。

拘縮期

拘縮に伴う可動域制限及び可動域最終域での動作時痛が主症状となる。

また夜間痛ではなく、寝返りなどの体動に伴う夜間の疼痛を訴える場合もある。

回復期

多くは徐々に自然軽快するが、症状改善には長期間(数ヶ月〜数年)を要する例が多い。

また症状が寛解せず疼痛・拘縮が残存する場合もある。

 

画像診断

診断においては他疾患の除外が重要であり、単純X線・超音波(エコー)・MRIを用いて診断する。

単純X線

肩関節周囲炎、凍結肩(primary froxen shoulder)では特異的な所見はない。

したがって他の疾患を除外する意味は大きい。

関節腔撮影(typeAP)、スカプラY像、軸写の3方向の撮影にて下記を確認する。

骨折や脱臼,上腕骨頭の上方化,石灰沈着関節症性変化、骨頭壊死の有無などを確認する。

 

超音波(エコー)

診断装置さえあれば、外来で無侵襲で検査を行うことができる。

カラードップラーを用いることで炎症を示唆する血管(血液)の確認も可能である。

カラードップラーとは

超音波を2度以上発射し、最初の信号と後の信号との違いを調べることで動いている物体(人体では血液が多い)のみを検出し、色付けします。動いていない物体は、引き算で消すことができます。(レーダーと同じやり方です。)

原理は結構解りづらいかも知れませんが、動いている物体すなわち血流に色づけする手法と簡単に考えて困ることはないでしょう。一般的には探触子に近づくものを赤系統で、遠ざかるものを青系統で表示します(動脈と静脈を区別する物ではありません!)。速度については、速いほど明るく表示することで視覚的に区別できます。

例として下画にて色付いてるところが炎症がおこってるところです。

 

MRI

電磁力を用いて脂肪層や関節包といった、さらなる単純X線・エコーでわかりにくかったところを検査することができる。

そのため関節包の肥厚、烏口上腕靭帯の肥厚が確認できる。

微細な腱板断裂などの、他の疾患の除外を行うことが重要である。

 

治療方針

病期により治療方針が異なる。

炎症期

関節注射や投薬、局所安静などの消炎鎮痛処置が中心

拘縮期以降

拘縮に伴う可動域制限および可動域最終域での動作時痛が主症状であり、リハビリテーションによる拘縮改善や肩甲体機能改善が中心。

拘縮が残存し支障が大きい場合には徒手的な授動術(麻酔下)や関節鏡視下の関節包切離が適応となる例もある。

 

腱板断裂

一般住民を対象として腱板断裂の疫学調査では、50歳以上の約25%に断裂し、そのうち約2/3は無症候性断裂であることを報告している。

また、腱板断裂の有無は、70歳代では約45%、80歳代で50%と年齢を増すごとに上昇していたと報告されている。

診断においては身体所見、画像診断が重要である。上肢の挙上困難であれば頚椎疾患の除外も重要である。

また断裂の程度により部分or完全断裂に大別される。

診断(身体所見・理学所見)

身体所見 視診

三角筋・棘上筋・棘下筋の萎縮の有無を確認する。

身体所見 触診

断裂部の陥凹、礫音を確認する。

断裂部の陥凹は断裂によって生じた陥凹を三角筋の上から触知するものであり、広範囲に及ぶ断裂の場合には触知できないこともある。

礫音は上腕下垂位・肘屈曲位で肩を軽度伸展し、検者が大結節部を触知しながら反対の手で他動的に患肢を内外旋させ、礫音の有無の判断する。

 

理学所見

関節可動域、インピンジメント徴候、腱板機能評価が主体となる。

関節可動域

屈曲、外転、内外旋の自動・他動ROM評価

インピンジメント徴候

Neer・Hawkinsの手技がしばしば用いられる。

Neerインピンジメント
検査者は座位になり、検者は患側斜め後ろに立って検査を行う。検査者の片方の手で肩甲骨を上から押さえ、反対の手で患肢を他動的に挙上させて疼痛が誘発されれば陽性。

Hawkinsインピンジメント
Neerと同様に被検査者は座位となり、検者は斜め後ろあるいは側方に立って診察する。患肢は肩90°屈曲位、肘90°屈曲位とし、検者が患肢を他動的に内旋させ疼痛が誘発されれば陽性。

腱板機能評価

腱板機能評価は腱板筋群における各筋の筋力を確認することが主な目的である。

棘上筋テスト(Empty can test・Full can test)
患者は肩甲骨面で90°外転位を保持し、検者が上方から抵抗を加え、筋力を評価する。
Empty can testは母指が下方を指す内旋位、Full can testは外転位で行う。どちらのテストも加えられた抵抗できず手が下がってしまった場合を陽性とする。

棘下筋テスト(外旋筋力テスト)
患者は上腕下垂位(内外旋中間位)で肘関節90°屈曲位とし、検者が内旋方向に力を加える。抵抗して保持できなかった場合を陽性とする。

肩甲下筋テスト(Belly press test・Lift off test)
Belly press testは肘屈曲位で両手掌を腹部に置き、手関節伸展位もまま手掌で腹部を後方に圧迫しつつ肘を前方(前額面上)に持っていく。肘を前方に持ってこれない場合や、手関節屈曲位となり手掌が腹部から離れてしまう場合陽性。
Lift off testは手背を自分の腰背部に付け、肘を伸展しないように注意しつつ手背を腰背部から離すように支持をする。手背を腰背部から離すことができない場合に陽性。

肩甲下筋腱断裂には上腕二頭筋長頭腱の脱臼・亜脱臼や断裂を併発することが多いため、上腕二頭筋長頭腱のストレステストでの疼痛の誘発を確認することも重要

小円筋テスト(Hornblower’s sign)
小円筋による外旋筋力の評価する手技である。口に両手を運ぶように支持すると、外旋ができない患者は外転動作で代償しようするため患側の肘が高く上がる。

 

 

画像診断

単純X線

関節腔撮影(true AP)、スカプラY像、軸写を用いる。関節腔撮影像は通常のAP像と比例して腱板断裂の診断において感度が高いと報告されている。

腱板断裂により上腕骨頭の求心位を保てない場合、関節窩に対して骨頭が上方移動し、肩峰骨頭間距離(AHI)が狭小化する。

しかし撮影肢位や撮影方法によるばらつきがあるため、関節窩下縁と上腕骨頸部内側縁のラインの乱れ(モロニーズアーチ)で骨頭の上方移動を判断する方法を用いている。

肩峰下インピンジメントの存在を示唆する肩峰下インピンジメントの存在を示唆する肩峰下および上腕骨大結節の硬化像や骨棘形成の有無を確認する。

広範囲腱板断裂例では腱板断裂性関節症(CTA)像を呈する。

 

超音波(エコー)

非侵襲的かつ短時間で行える検査であり、腱板断裂の診断における感度・特異度はMRIと同等と報告されている。

被検者を座位として検査を行う。

上腕下垂位・外旋位で胸を張った姿勢にさせると肩甲下筋の小結節への停止部を観察しやすい。

棘上筋・棘下筋は腰に手を当ててもらい。

肩関節軽度伸展位にすると観察しやすい。

上記の4つの視点から確認することが多い。

断裂例では欠損部に貯留した水腫を示唆する低輝度像が認められるほか、本来であれば体表に向かって緩やかなカーブで凸状に描出されるはずの腱板が陥凹して描出されることで断裂の確認することもできる。

 

MRI

傾斜冠状断、斜位矢状断、軸位断の3方向の画像を撮影する。

断裂の有無および範囲についてはT2強調画像を用いて診断するが、断裂がある場合、断裂部(欠損部)に関節液が貯留するためT2強調画像で高信号に描写される。

斜位冠状断

体幹を軸とした通常の冠状断ではなく、棘上筋の走行に平行な斜位冠状断を用いることで断裂サイズや断裂サイズや断端の内側への引き込みの程度を把握しやすい。

 

斜位矢状断

腱板の付着部である大結節が描出されているスライスを用いて断裂の有無および前後方向への拡がりを診断する。

 

筋萎縮の評価は、肩甲棘が肩甲骨体部と連続してみえる最も外側のスライス(Y-view)を用いて判断する。

 

軸位断

主に肩甲下筋腱および上腕二頭筋長頭腱の評価を行う。
肩甲下筋腱断裂は頭側部から生じることが多いため。
肩甲下筋腱が付着している上腕骨小結節の最頭側(舌部)を確認することが重要である。
また、上腕二頭筋長頭腱は、途絶や偏平化だけでなく結節間溝の中央に存在しているかどうかの確認が需要である。

 

 

治療方針

投薬、関節注射、リハビリテーションを中心とした保存治療と手術に大別される。

一般的に腱板断裂に対しては、まずは保存治療を行い。疼痛や機能障害の改善が得られない例に対して手術治療を行うとされている。

若年者で保存治療を行った例では長期予後が不良であったと報告もあり、筆者らは50歳代以下の、特に外傷性の腱板断裂例は積極的に手術を行っている。

60歳代以上の非外傷性断裂に対してはまず保存的治療を行うが、インピンジメントによる疼痛が強い症例や大きめの断裂で骨頭の求心位が取れない例、活動性の高い例では手術治療が必要となることが多い。

 

保存的治療

薬物療法

急性期の安静時痛及び夜間痛には薬物療法が有用であり、消炎鎮痛薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)の内服、ヒアルロン酸やステロイドの肩峰下滑液胞内への注射が行われる。

 

リハビリテーション

肩甲帯機能訓練、内外旋の筋力訓練や拘縮に対するリハビリテーションを行う。

リハビリテーションを含めた保存的治療で70〜80%の患者で症状の改善が得られたと報告されている。

 

手術
腱板修復術

鏡視下腱板修復術が広く行われており、直視下手術と比較して成績には差がなく、術後早期の除痛においては鏡視下手術のようが優れていたという報告がある。

修復術には多彩な手術である。。。

 

リバース型人工肩関節

原則70歳以上の偽性麻痺肩に適応なる。自動挙上の改善、除痛などにおいて良好な成績が報告されているが、合併症が多いと報告されており、他に治療方法がない症例に対して最終的な治療手段として用いるべきである。

 

おわり

肩関節周囲炎及び腱板断裂について、臨床像・検査・診断法・治療などを概説した。

病歴、主訴、身体所見及び画像所見を総合的に評価し、機能障害を引き起こしている病態の主座を把握することが重要である。