対象読者:外来リハビリを担当しているPT・OT・ST、データ提出加算を算定したいが何から手をつければいいかわからないセラピスト


「データ加算で困っている」——その気持ち、わかります

令和8年度(2026年度)の診療報酬改定が施行されてから、SNSやコミュニティでよく見るようになった投稿があります。

「データ提出加算、何から手をつければいいかわからない」
「様式が変わったらしいけど、うちのやり方で続けていいのか不安」
「そもそも届出の手順を誰も教えてくれない」

その感覚、正直です。制度側の説明は複雑で、現場のセラピストが読んでもわかりやすくはない。今回の改定でとくに混乱が多いのが、このリハビリテーションデータ提出加算です。

私は理学療法士として整形外科クリニックに勤めながら、2023年10月からデータ提出加算を自院で算定しています。届出から試行データ提出、本算定、運用フローの設計まで、ゼロから全部やってきました。

この記事では、令和8年度対応の実務ポイントを現役PTの視点で整理します。


令和8年度で何が変わったか——まず変更点を整理する

今回の改定で「変わったこと」と「変わっていないこと」を分けて理解することが、混乱を解消する第一歩です。

変わったこと

① データ提出の対象患者が拡大した

従来は「医師が生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症)と判断した患者」が主な対象でした。令和8年度からは糖尿病・高血圧症・脂質異常症・慢性心不全・慢性腎臓病・認知症のうち1疾患以上を有する患者、さらに要介護・要支援の患者が対象に加わりました。

外来リハビリで担当する患者の多くは高齢者であり、要介護認定を受けている患者も少なくありません。実態として、対象患者数が増える施設がほとんどです。

② データ項目が簡素化された(一部)

2026年度の改定では、入力の負担が大きかった検査値項目がすべて削除されました。これは現場にとって大きな改善です。ただし、FIM(機能的自立度評価法)・BI(バーセルインデックス)・治療内容などはそのまま残っています。

③ 届出様式が更新された

令和8年度から様式が変更されています。以前の様式を使った届出は受理されないため、必ず新しい様式を使用してください。

変わっていないこと

  • リハビリテーションデータ提出加算は50点・月1回
  • 提出頻度は3か月に1回(年4回)
  • 提出期限を3回遅延すると加算が剥奪されるルール
  • EMシステムズのCSV処理フロー(令和6・8年度対応のツールをそのまま継続利用可)

「令和8年度で別の仕組みになった」わけではなく、制度の骨格は同じ。対象が広がって様式が変わった、というのが正確な理解です。


だからこそ「データ提出加算」が重要になった

変更点の整理が終わったところで、今回の改定の文脈を一段深く見てほしいです。

令和8年度改定では、外来リハビリの収益構造に直接影響する変更がいくつか入っています。

① 目標設定等支援・管理料(H003-4)の廃止

脳血管疾患・廃用症候群・運動器リハビリの患者のうち、介護保険への移行が想定される患者に対して算定できていた加算です。点数としては小さくとも、対象患者が多い施設では積み重なる金額でした。令和8年度改定でこの加算は完全廃止。同時に、この加算を算定しない場合に適用されていた90/100減算規定も廃止されましたが、加算そのものがなくなった以上、収益面ではマイナスです。

② 「離床なきリハ」が所定点数の90%に減算

令和8年度から、離床を伴わずに20分以上の個別療法を行った場合は所定点数の100分の90での算定となり、さらに1日2単位までに制限されました(医師が医学的必要性を認めた患者は除外)。外来リハビリでは通常離床を伴うケースが多いものの、術後早期や重度例を多く担当する施設では影響が出ます。

③ リハビリテーション総合実施計画評価料が段階制に(実質引き下げ)

従来の算定に比べて、2回目以降の点数が下がる段階制に変更されました。評価料1(多職種連携の体制あり)でも初回300点・2回目以降は240点。継続的に評価を行うほど1回あたりの点数が抑えられる構造です。


これらが意味すること

リハビリの「基本料」「評価料」「加算」が削られる流れのなかで、データ提出加算(50点/患者/月)は変わらず存在し続ける安定した加算です。

月150人規模で年間90万円。これは「あると嬉しいボーナス」ではなく、削られた収益を補う構造的な対策として見るべき点数です。

院長・事務が「手間に見合わない」と判断して後回しにしてきた施設も、今年度の収益構造を見直すタイミングで、算定を始める実質的な理由が増えたと考えています。


届出の手順——2ステップの構造を理解する

データ提出加算の算定を始めるには、以下の順序で手続きを進めます。

STEP 1|様式7の10を厚生局に提出する(データ提出開始届出書)

「外来/在宅/リハビリテーションデータ提出加算及び充実管理加算 データ提出開始届出書(様式7の10)」を、施設が所在する都道府県を管轄する地方厚生局医療課に提出します。

令和8年度の提出期限:5月20日・8月20日・11月20日・令和9年2月22日

重要:リハビリテーションデータ提出加算の初回試行は令和8年11月20日(第3回)が最初の提出機会になります。5月・8月は提出受付がありますが、11月までに届出を完了させておけば問題ありません。余裕をもって動くなら8月20日の届出を目標にするとよいでしょう。

STEP 2|試行データを提出し、様式7の11で本届出する

様式7の10の提出後、外来医療等調査事務局から受領完了のメールが届きます。その後、試行データを作成して期限までに提出。厚生労働省から実績認定の事務連絡を受けてから、様式7の11で本届出をします。

この2段階の構造を知らずに「届け出れば算定できる」と思っていると、手順が抜けます。


本当の問題は「入力作業量」

届出の手順はわかった。では実際に一番しんどいのはどこか。

答えは明確です。データの作成・入力作業です。

外来様式1(リハビリ提出用)に必要な入力項目は1患者あたり多数にのぼります。月に150人規模のリハビリ患者を抱えるクリニックなら、3か月分を一気に処理する作業量は現実的な数字ではありません。

2023年9月、私が院長と事務にデータ提出加算の話を持ちかけたとき、最初に言われた言葉がこれでした。

「患者全員分を何十項目も手入力で? それ、事務に頼める量じゃない」

その通りです。だから、Excelマクロで自動化しました。


私がやっていること——年間1時間で提出を回すフロー

現在、私が担当しているのは以下の作業だけです。

毎月3分: EMシステムズで「お気に入り」検索条件の月だけ変えてCSVを2本出力
毎月4分: Excelツールを開いてマクロを4回クリック → outputシートを事務に渡す
3か月に1回: 事務がoutputシートをコピペして外来様式1入力支援ソフトに貼り、gairai.jpから送信

合計7分以内でoutputシートが完成します。事務はコピペと電カル確認だけ。PT9年目の私が2023年10月から7回以上連続提出成功、加算算定継続中です。

このフローを作るために、2つのツールを使っています。


ツール①|データ提出加算 自動集計ツール(EMシステムズ専用)

データ提出加算 自動集計ツール(EMシステムズ専用・¥9,800)

EMシステムズから出力したCSV2本を貼り付けて、マクロを4回クリックするだけで提出用outputシートが完成するExcelツールです。

解決する3つの課題:

  1. CSV列整理の自動化 — EMシステムズのCSVには不要列が多い。マクロが一括削除・整形し、1患者1行に自動集約します
  2. 傷病名→ICD10コードの自動変換 — 整形外科・運動器リハビリで頻出する傷病名1,800件超を内蔵辞書でカバー
  3. 65歳以上の自動色分け — 高齢者情報の入力が必要な患者を一覧でひと目で識別

EMシステムズ特有の壁: EMシステムズのCSVは通常メモ欄のデータが出力されません。身長・体重・喫煙歴・既往歴はメモ欄に記録している施設が多いはずです。このツールでは「住所欄・メールアドレス欄を代替入力欄として使う運用」でこの壁を回避しています。詳細はnoteの有料部分で説明しています。

令和6・8年度対応済み。令和8年度の提出様式・集計フローに変更はありません。


ツール②|リハビリテーション総合実施計画書ツール(令和8年度対応版)

リハビリテーション総合実施計画書ツール(令和8年度対応・¥3,980)

こちらは、データ提出加算のFIM・BI入力の正確性と効率を担保するための補助ツールです。

令和8年度改定で計画書はここが変わった

  • 署名欄の廃止 → 「説明日」「説明者」の記載が必須化(記録義務は継続)
  • PT・OT・STが説明者として可 → 医師の指示のもとでの説明が認められた(ただし回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している場合は引き続き医師による説明が必要。各施設の施設基準を確認すること)
  • 実施計画書の様式が改訂・新設された(新・別紙様式21)。旧様式23等の継続使用も差し支えないとされている
  • リハビリテーション総合計画評価料が段階制に変更(初回・2回目以降で点数差)

このツールが解決すること

① EMシステムズの名前ボックス連携で患者情報を自動入力
EMシステムズ上でこのExcelを開くと、疾患名・発症日・患者氏名・生年月日が自動入力された状態で計画書が立ち上がります。毎回手入力していた転記作業がなくなります。

② FIM・BIをデータ提出加算用の数字列に自動変換
FIMの18項目を入力すると→18桁の数字列が自動生成。BIの10項目を入力すると→10桁の数字列が自動生成。

BIは表示スコアと提出用入力数字が異なります(スコア10点の項目を「10」と入れてはいけない)。これを患者ごとに毎回手計算していた方には、ミスのリスクを完全に排除できます。

2つのツールを組み合わせると

計画書作成(ツール②)→ FIM/BI数字列を出力 → データ提出加算の外来様式1に転記(ツール①)

この流れが最もスムーズです。データ提出時の電カル照合フェーズが大幅に短縮されます。


算定しないことのコスト

月150人規模のリハビリ患者で計算します。

項目数値
加算点数50点 / 患者1人 / 月
月150人の場合月7,500点
年間加算点90,000点
年間増収(1点=10円換算)約90万円

ツール2本の合計は¥13,780です。初回提出が通った月に全額回収が完了します。

問題は「始め方がわからない」ことではなく、「始めないことで毎月確実にお金が消えている」ことです。


まとめ——今すぐやること

  1. 様式7の10を準備し、次の届出期限(8月20日)を目標に厚生局へ提出する
  2. 試行データ提出の準備として、EMシステムズからCSVが出力できるか確認する
  3. 総合実施計画書のFIM・BI変換フローを整備する(ツール②)
  4. データ整形の自動化フローを整える(ツール①)

制度は複雑に見えて、やることは順番に整理すれば手順が決まっています。「誰も教えてくれない」なら、実際にやっている人間の情報を参考にしてください。


ツールのリンク

データ提出加算 自動集計ツール(EMシステムズ専用・¥9,800)

データ提出加算 自動集計ツール(EMシステムズ専用・¥9,800)

リハビリテーション総合実施計画書ツール・令和8年度対応版(¥3,980)

リハビリテーション総合実施計画書ツール(令和8年度対応・¥3,980)

本記事の情報は2026年5月時点のものです。診療報酬制度の改定により内容が変更になる場合があります。算定要件・届出の最終確認は各都道府県の地方厚生局にお問い合わせください。本ツールはデータ整形の補助を目的としており、算定可否の保証はしていません。


著者:Goyasu(Yasuyasuuun)
理学療法士 / 整形外科専門 / 愛知県みよし市
2023年10月からリハビリテーションデータ提出加算を継続算定中。EMシステムズ(MAPs for CLINIC)ユーザー。

ABOUT ME
Goyasu
後藤靖昇(Goyasu)。理学療法士・整形外科専門。2017年より臨床に従事し、膝関節・腰椎・肩関節を中心とした運動器リハビリテーションを専門とする。【資格】日本疼痛リハビリテーション協会マスター/NASM-PES(米国認定パフォーマンス向上スペシャリスト)/理学療法士協会認定管理者研修上級/心理カウンセリング1級・コーチング1級/剣道三段。【役職】愛知県理学療法学会理事(令和7・8年度)。エビデンスに基づく臨床思考と、患者個別の文脈を重視した介入を実践している。