リハビリテーション

「非特異的急性腰殿部痛におけるエコーガイド下hydro-release」 文献抄読

94日に勤務先で院内勉強会「非特異的急性腰殿部痛におけるエコーガイド下hydro-release」について行いましたので、その文献抄読を行いながら自分の臨床経験などから得られたことを追加して、今回は投稿してみます。

今までは出来るだけ個人の意見は載せないようにし、文献のエビデンスのあることだけを伝えてきました。

なぜなら臨床経験での話は個人であったエビデンスが取れているわけでもなく、皆様に当てはまるわけではないので、混乱させるよりはいいと思っていました。

しかし、このような形で投稿させていただいたのは、どちらの方が需要があるのか検討させて頂きたく、今後少しの間は僕の個人的な臨床経験のことも踏まえて、投稿させていただければなと思いますので、この後ともよろしくお願いします。

 

はじめに

非特異的急性腰殿部痛と言われると?クエッションマーク?が浮かんでると思います。

簡単に言いますと「ぎっくり腰」のように腰が痛いものを言います。

しかし日常診療において、腰が痛いからと言って安易に診断することはできません。

なぜなら最初の診断において最も重要なことは、感染、骨折、癌を示唆するレッドフラッグを鑑別すること、次に神経症状を有する腰殿部痛において、急性進行性または明らかな筋力低下を合併する重篤な神経脱落症状、膀胱直腸障害の有無を評価します。

このようにレッドフラッグや神経症状を伴わない腰痛がいわゆる非特異的腰痛と呼ばれるものが日常診療において最も頻度が高いです。

具体的

特異的とはどんなことを指しているのかというと、皆さんも聞いたことがある病名です「腰椎椎間板ヘルニア」「腰部脊柱管狭窄症」「腰椎分離症」「腰椎滑り症」「骨粗鬆症による圧迫骨折」などが挙げられます。

これらは腰殿部痛における原因全体の20とされています。

残る80%が非特異的腰殿部痛です。多くは筋膜性疼痛症候群、仙腸関節障害、上殿皮神経障害、椎間関節症、腸腰靭帯障害などで占められる。

発症の起点としては、急性の腰殿部痛は不意の動作、中腰、ひねり動作で急に起こることが多いです。

ほとんどの急性非特異的腰痛は自然に軽快しうる疾患であるが、急性期の激痛、就労困難を考えると、症状緩和の治療の意義が高いとされます。

しかし、非特異的腰痛は原因が複雑に絡み合っている場合もあり特定が難しいこともあり、NSAIDs内服と外用薬処方(ロキソニンなどの痛み止めのこと)で経過を見ることが多い疾患でもあります。

データ

腰痛を有する患者数は極めて多く、厚生労働省の2013年国民生活基礎調査では入院者を含まない腰痛の有訴率は約8.5%である。

男性では最も多く、女性では肩こりに続き2番目に多い愁訴であり、アメリカの労働者では有病率25.7%とされている。有病率が最も高い疾患である。

 

しかし近年、運動器エコーという分野の急速な発達と、トリガーポイント(ファシア)の概念の再認識により高頻度に分布する侵害受容器の過敏化、局所麻酔薬を使わない生理食塩水によるエコー下注射の安全性と即効性が評価され、注目を集めている。

動作分析や、それぞれの特異的な圧痛点を見出し、時にエコーにてファシアの重積が認められ、生理食塩水、もしくは重炭酸リンゲル液のエコー下注射で診断的治療が可能である。併せて、再発防止、セルフトレーニングなどの患者指導が重要である。

 

ここからは具体的に2つをピックアップして見ていこうと思います。

筋膜性疼痛症候群と仙腸関節障害を見ていきます。

 

筋膜性疼痛症候群

筋膜が疼痛の根本原因となっている場合において診断されます。

筋膜とは筋肉を包んでいる物のことだと思っていませんか?

筋膜とは筋肉の外側に位置しており皮膚・脂肪・神経・血管・骨・筋肉同士の位置関係を安定させているものです。

そのため筋膜の動きに異常が起きた場合、上記の位置の安定性が変わってしまい痛みや関連痛(原因部位と異なるところが痛くなること)が出現します。

そこで先に述べたようなトリガーポイントを見つけることが最重要となる疾患です。ここでのトリガーポイントとは過敏化した侵害受容器の根本となる大元の筋膜ことです。

 

動作分析

体幹の前屈、背屈、回旋、側屈を行なっていただき、動きの制限、痛みがどのような動きでどこがどのようになのかを立位や座位などので比べることによって大まかに原因部位を見立て、触診や自動介助動作などによってできるだけ細かく特定していきます。

次にアプローチに入っていきます。

治療

アプローチについてはドクター、理学療法士でも違います。また理学療法士間でも方法が異なることが多々あります。

ですが!経路が違うだけで目指す目的地は同じですので安心してください。

 

仙腸関節障害

筋膜性疼痛症候群とともに数多くの患者が急性あるいは慢性の仙腸関節による痛みを訴えます。

治療は時として時間と技術が必要とされます。

特徴としては仙腸関節が痛むため動かすことができず、代償動作で膝を曲げる。特に歩行時や下肢・体幹の伸展動作時に著名です。また女性アスリートに多く、種目としてはサッカー、ソフトボールなどの片足に強い負荷がかかる種目に多い。休息をによって一時的に治っても、競技を再開すると再発することが多いのも特徴。

診断では村上の記した仙腸関節スコアが参考になる。12点中5点以上であれば可能性が高いことが示唆される。

 

また腸骨回旋ストレステスト、Patrickテストに加えNewtonテストの変方においても仙腸関節に異常がないか検査できる。疼痛出現にて陽性。

 

治療

痛みに応じて消炎鎮痛剤、ブロック注射が第1選択となる。

リハビリでは股関節や脊柱の可動性を高めるためのストレッチや、仙腸関節の安定性を高めるための体幹深部筋トレーニングがよく挙げられる。

僕が臨床において上記以外にもよく原因として上がるのが、自分の思っているように背筋群、腹筋群に力を入れることができ仰臥位などで自在に動かすことができるのか。僕はリハビリの時に横向きに寝ていただき骨盤のみ(頭や足が動かないように)を丸めたり、そらしたりできるのかを見させていただくことが多く。仙腸関節障害ではできてない方が多い印象です。

 

終わりに

最後に予防したい方もしくは違和感がある方に、ちょっとした運動を紹介させてください。上記でも記載させていただいたものもありますが、

「横向きに寝て骨盤を丸めたり・そらしたり」

「仰向けに寝て骨盤をフラダンスのように動かしたり」

「仰向けに寝てウエストの背中部分を床とくっつけるようにしながらお尻上げ」

この3種類を定期的に出来るか確認してみてください。この動きが行いにくくなった際やできない動きがある場合には痛めやすいと個人的には思っています。(エビデンス的な根拠はありません)

内容として極一部の抜粋となってしまいましたがご了承下さい。